青少年非行・犯罪史資料。
なんと全三巻、22センチくらいになるのではないかという大作である。
電話番号帳が三冊あると思えば想像にはやさしくなるだろう。
内容は非常に陰湿だ。人間社会に疑問を持ち始めてしまうくらいは陰湿だ。つまり、青少年非行、犯罪史資料としては一級品の価値があるということなのだが、しかし私のような一般人が読むと沈黙してしまう本なのだ。
戦後から80年代前半までのほとんどの陰湿な全国レベルの事件を網羅している。かなりクレイジーな内容がてんこ盛りで、しかもその具体的状況にいたるまで記載してある。人間不信を加速させたい人にはもってこいの内容だ。
青少年犯罪が増加しているというような認識が多いが、しかし実際はそれほど多くなっているわけではない。人間の実態、基本的な性質は変わっていない。今も昔も、「猟奇的な」と表現される事件は恐ろしい件数起きている。
私が興味があるのは別にその猟奇性ではなく、その事件を起こした当時のその当事者の心理状況だ。はたから見れば信じられないような状況と行動を作り出した彼らは、しかし彼らの思考回路上では合理的な意思決定と判断をしてその行動に及んだと思うのだ。
無論そこでいう意思決定と判断の中には、意識を伴わない反射的な、発作のようなものもあるだろうが、しかしそれもその個人の性質としてそれが表出しやすかったという意味から、その個人特有のなんらかの特徴がそれをもたらしたのではないかと思うのだ。
私は、人の意思決定は判断のスイッチと、そのスイッチの判断を伝送する経路の二つが組み合わさって実現されていると考えている。果たしてどのようなストーリーが彼らの合理性を作り上げたのか、果たしてどのような経験と体験が、かれらにどのような影響を与えてこのような惨劇といたったのか、非常に興味深いし、知りたいと思う。
まぁ、この本を読んだだけではそんなことはわからない。新聞記事をベースにしてあるらしく、淡々と事実が記述してあるだけである。感想がほぼないことが逆に、その非人間性の表現を助長してさらに読む人を悲哀に落とし込む。
そこにあるのは、単なる悲劇であり、それ以上でもそれ以下でもない。ただわかることは、私には理解できないということだけである。
あなおそろしや。覚悟してごらんあれ(笑
内容をどうしても知りたい人は以下のリンクを参照するべし。似たようなものだ。
http://www.geocities.com/kangaeru2001/index.htm
関連リンク
http://www2m.biglobe.ne.jp/~Ippongi/fpi/shounenhou/sh000001.htm
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~hkawamu/forum-iken1-hagi.html
タグ:図書館
【道具箱(gadgets)の最新記事】