どうも組織的な犯行のようだ。
電話の音が数回し、また人の気配もある。テレビのような音も聞こえてくる。どうにかして沈黙を創り出し、さらに環境音を聞いてみる。
怒鳴り声が聞こえた。
あぁ、私のようになぁなぁの対応を続けると最後は怒鳴られるのだなということが分かってくる。そろそろ潮時かも知れないので、キレてみる。向こうのたじろいだ声が聞こえてくる。そりゃそうだ。悄々と黙って聞いていた途端にキレるのだから、精神異常者とでも話しているかとでも思っただろう。
とりあえず、啖呵をかまし放送禁止用語を連発しておいて、電話を切る。
ふぅ。
しかし、私の電話にもこのような電話がかかってくるなどとは身にもよらなかった。少なくとも自分の携帯電話番号はそうそう公開するものではないし、ただかかってきただけならまだしも、名前までばれているというのは非常に恐い心持ちになった。
無論、むこうもいきなりキレる精神異常者に関わろうとも思わないだろうし、ほかにもっと想定ターゲットもいるだろうからここまで押しかけてきたりはしないと思うが、しかしながらいったいどこから漏れたのだろうと非常に気にかかった。
そういえば、、一つだけ心当たりがあった。わずか500円で私の名前と電話番号とメールアドレスと住所を悪徳業者に売り渡したあるインターネット接続業者だ。(爆)とりあえずなんか対応してくれるかも知れないのでカスタマーサポートに電話してみることにする。
こういう時の対応策は、とりあえず感情的になってみるということだろう。恐ろしい人から電話がかかってきて、しかも私の個人情報を知っている。これはいったいどういうことなんですか?助けて下さい。と、懇願系で電話してみる。
すると、まぁ色々と言い換えてみたり、もしくは親切に対応しているように見せているのだが、論理的に分析してみると、
「うちじゃないかもしれないだろ?警察か消費生活相談センターに電話しろ」
という一行を言うために非常に高度な日本語を駆使しているだけなのだ。すごく親切に対応しているように見えて、実は全く持って核心に触れていない。いちお対応してあげたでしょ、という気持ちを聴高度に婉曲された日本語表現によって私に伝えているのである。。。
たぶん上の人にそういう風に対応しろと言われているのだからそういうしかないと思うのだが、本当にそうだったら一体どうするつもりなんだろうか。数百万人の個人情報を盗み出して、CDで持ち歩き(ここ重要、すぐコピー出来る。)恐喝してくる犯人に譲り渡した割には、素晴らしい対応である。
まぁ、電話に出ているサポートセンターの人は或る意味被害者。こういうマッドな人間から、話など通じないヤクザにいたるまで、ありとあらゆる世の中の理不尽に対応しなくてはならないのだから、それこそ笑顔引きつりながら日夜頑張っていることだろう。
しかし、世の中色々な商売があるものだ。職業という観点から考えると、恐喝屋も或る意味職業であるし、苦情受け付けセンターも言ってみれば謝り屋だ。謝りつつも謝りきれない。恐喝屋も自分の主張が間違っているのを知っていてもを絶対曲げれない。非常に理不尽で辛い商売の一つだろうと、周りから見れば思ってしまう。
道を歩きながら考えてみると、無視されまくりのティッシュ配りのおねぇさんが目に入る。すごく笑顔なんだが、その瞳には輝きがない。それはやる気のない若い男のティッシュ配りでも良いのだが、かなり割り切らないとやっていけない商売の一つだろう。それは風俗も同じで、それはそれはかなりの割り切りがないと出来ないと思うし、ヤクザやら恐喝屋やら死体掃除屋さんも割り切りに割り切りを重ねないと続けることは困難なように端から見れば思えたりする。
虐げられる職業。ある種社会的地位の低い職業がある。私に甘い言葉でささやき、次第に恐くなっていった恐喝屋さんも、サポートセンターで私を丸め込んだ若い兄さんも、風俗の人も、ティッシュ配りのおねぇさんも、或る意味虐げられる職業である。それはどのような文脈で捉えてもいいと思うが、少なくとも何の疑問もなく続けることが出来る商売ではないように外から見れば思えたりするのである。
そのような商売をしている人の心境は、実は非常に興味深い。それは狙ってやっているのか、それとも別に私の思っているようなことなど全く考えることはないのだろうか。使ってもいないお金を払わさせることに何のとまどいもないのだろうか。と、被害者の側に立ってみて考えてみると考えることがある。
しかし、それは多くの場合当事者から見ると、私たちの想像と違う事が多い。
私は、サポートセンターで怒鳴られて平謝りした過去もあるし、水商売で客からいちゃもんを付けられて平謝りしたこともある。顧客からの苦情に対してこちらの主張を一切曲げなかったこともあるので、実体験として少し感じることがある。その経験から明らかなのは、サポートセンターで相手を丸め込んでいた私は、かなり割り切って相手を丸め込んでいたことである。それこそ相手はゲームの対戦相手でもあるかのごとく、相手の心境など考えずに、こちらの主張をどうにかして日本語を駆使して通すために頑張るのみだったということである。
自分のしていることを正当化するプロセスが確実に存在し、私はそれに飲まれていたのである。
昔、男友達が、出会い系サイトのサクラというありえないほどヤクザな商売をしていたが、彼も悩み苦しんだのは最初の一週間で、次第に割り切っていく自分が見えたという。
風俗をしている人も、次第にお客さんがものに見えてくると言うが、まさにそのとおりで、それを続けている人間にとって見ればなんのことはない日常の一部だったりするのである。
我々が忌み嫌う商売に生きる人たちは、しかしそれを日常として生きている。恐喝屋や詐欺師、およそ世の中の有りとあらゆるアンダーグラウンドに生きる人たちにとっては、アンダーグラウンドが日常であるのだろう。それは私たちから見ればアンダーグラウンドであるが、しかしそれぞれはそれぞれの価値観で生きている。
被害者の側になってみれば、ふざけるなというはなしではある。どちらにせよ、その被害を被る側から見れば、まったく違う価値観の中で生きている人たちである。いきなり金払えといってくることに無神経な人と、責任を取らないでごまかすことが商売の人たち。被害者から見ればあまりにも理不尽な人たちだ。道を歩いていると前をふさいで募金をせがんできたり、半ば強引にティッシュを渡したり、人の家の郵便受けにいりもしない広告を投げ入れたり。はたまた年利24%という住宅ローンの十倍の金利でお金をかす人たちであったり、事故を起こして保険金をせびる人たちであったりである。
しかし、それらの職業を営む人から見ればそれは合理的判断の結果であり、日常なのである。
合理的判断の結果として、いつのまにか他者から見ればありえないような活動に身を置く人にも、その活動を正当化するに至る道筋があるのである。
たとえば、テロ組織や反政府組織を考えてみよう。これらの組織は我々が通常考えてみると、あり得ない人たちである。被害者の気持ちを考えることなく、無差別テロを行ったり、もしくは反対勢力を大虐殺することすら或る。しかしその背景には、有無を言わさないアメリカの外交があったり、中東の混乱を招いた責任をまったくとろうとしないイギリスがあるのである。時に、政権樹立時の抗争によって家族を殺された人間達もいるはずであるし、一部の人間に権益が集中することのしわ寄せをおもいっきり受けた人々の末裔がいるのである。
表象に現れる事象だけを見ると、自分にとって理解出来ない物事はたくさんある。
しかしその内面を探って考えてみるとき、しかしそれは限定的な範囲ではあるが、合理的であることがほとんどである。
その志向の内面を理解するのは本当に難しい。時には不可能と思えることも多い。だからこそ、我々の世界には争いが絶えない。
【随想(essay)の最新記事】
- 国境を超える者達。
- 若者たちの直面する無理ゲー:ドーハで出会..
- トヨタのライバルはグリー:走ることの楽し..
- 帰属集団。メディア。自分を変える。
- I'm fortunate in the..
- The power of person ..
- 理由の無い栄華にはいつか終わりがくる。
- 人生の長さと世の中の大きさのたとえ話。
- 空気となるもの。
- 盆栽
- 桜・さくら・サクラ
- 会話を作るもの。会話が作るもの。(草稿)..
- 言葉足らず
- 人種のるつぼ・運転免許試験場
- 想像出来ない現実。人間社会の悲劇
- 世知辛い世の中
- ケータイに思う:僕らが若者を理解出来なく..
- 本当の旅
- 一日は短編映画、人生は長編映画
- もっとも成長する人


さすがこっとん!
なんか徘徊していたらここにたどり着いてました。
のであしあと代わりに♪
その色々な人に私はなれるわけでないが、
その人たちを理解できる人にはなりたいのです。
たぶん相当なハードワークだと思うけど。。
おれを覚えてるのかもわからんけど(^^;
30日の夜に会って「書き込む」って言ったやつだよ。
言いたいことはものすごく良く分かる。
特定のロジックだけを追うとたいていみんなロジカルなんだ。
ロジックとしては理解できる。だから広くなれる。
ただ、たまに前提とする価値観が違ったり、その時々で
都合の良い一貫性のない価値観を採用する人がいたり、
価値観は同じなのにその判断が組織のダイナミズムの中で
変化したりすることがあって、そういう人たちの行動に
違和感を覚えたりする。でも話を聞けば解る。
けど、相手が彼女だと思うと、広くなれない(^^;
そこがおいらの弱いところっす。
ま、そんなんでかなりテキトーですまんです。
ブログの使い方おしえてくれm(__)m
言いたいこと分かってくれて嬉しいよ。
ブログはまったり結構使ってるからもしなんかあったら
メールくれい。もしくは英語でまた。