2004年05月16日

マスメディアおなかいっぱいにみる新聞の読み方

昨日、15日の朝刊は見物だった。一面クラスの記事が大量に乱れ飛んでおり、ネタに困るどころか、どのネタを載せるかに困る状態だったのである。
 一面を選ぶとき、もちろんニュース性のあるものを新聞社はチョイスし、一面記事にするのだが、ご存じの通り、新聞のスペースは限られる。そのため、これだけ一面レベルの記事が乱立すると、メディアによってその扱い方から様々な特徴を垣間見れるのである。

 一つしか一面クラスのニュースがない場合、一面のどのくらいのスペースを取るかについては、その新聞社がもっている情報の価値と量に影響される。そのニュースについてどれだけ取材をしているか、また価値のある記事が書けるかに、その扱いが大きく影響されるのである。
 また、一つしかニュースがなければ、そのニュースの扱いや内容から新聞の特徴を見て取るのは難しい。もしかしたら否定的に偏った報道をしているかもしれないが、それは否定的な情報ソースしか集めれなかった可能性もあるし、また肯定的に捉えているメディアも、肯定的な人間への取材しかできなかった可能性もあるからである。

 しかし、このように一面クラスの記事が乱立する状況になり、またどのトピックに関しても各社一面を埋めるには十分な情報量を持っていると推測される状況となると、話は変わってくる。編集長は自由に、自社の新聞と購読者層にとって価値のある一面を構成することが出来ると推測出来るからである。

 こういった状況になると、非常にわかりやすく各紙の特徴を見て取ることが出来る。15日朝刊に掲載される全国レベルの複数の一面記事、これをどのように構成するかを見ることで、その一面から受ける印象を捉えなしてもらいたい。


さて、今回の場合、具体的に全国一面クラスの記事は、

・首相北朝鮮訪朝
・首相年金未納
・小沢一郎民主党党首内定
・女子バレー5輪出場決定

だ。どのトピック一つを取ってみても、我々が知りたい情報であることには代わりがない。では、この状況において、主要メディアはどのような一面を構成したのだろうか。丁度都内に出かけた私は、駅のキオスクで叫んだのである。

「全国紙全部下さい。」

もちろんおばさんの反応は、

「はい?」

かなりの混乱をしていた。それはそうだ、駅のキオスクで新聞を8紙も買っていく人間はそうそういない。まぁ、そんなことはどうでもいい。具体的に記事の特徴を抽出してみよう。各新聞の一面画像を見つめて、どのような印象を受けるか考え、そして各紙ごとに比較して欲しい。



読売新聞
 1・首相北朝鮮訪朝>右上トップ
 2・小沢一郎民主党党首内定>左上(写真入)
 3・女子バレー5輪出場決定>右中央写真
 4・首相年金未納>右下天気予報と女子バレーの中間




朝日新聞
 1・首相年金未納>の紙面右半分事件扱い
 2・首相北朝鮮訪朝>左上
 3・小沢一郎民主党党首内定>左中央(写真入)
  ・女子バレー5輪出場決定>無し




産経新聞
 1・首相北朝鮮訪朝>左紙面半分事件扱い
 2・首相年金未納>左上
 3・小沢一郎民主党党首内定>左下(写真無)
  ・女子バレー5輪出場決定>無し




日本経済新聞
 1・首相北朝鮮訪朝>右上トップ
 2・小沢一郎民主党党首内定>中央(写真入)
 3・首相年金未納>左下
 4(三菱自動車資本増強・京都議定書目標困難の記事を掲載)
 ー・女子バレー5輪出場決定>無し




スポニチ(毎日新聞系列)
 1女子バレーのみ
サンスポ(産経新聞系列)
 1女子バレーのみ



スポーツ報知(読売新聞系列)
 1巨人ヤクルト戦
 (ヘッドラインのみで女子バレー5輪決定)





日刊スポーツ(朝日新聞系列)
1首相年金未納問題



 よく、感覚的に言われている、あの新聞は左だ、この新聞は右だ、というような特徴を見いだせるだろうか?またよく言われる主要株主をはじめとする資本関係影響やグループ企業からの影響を見て取れるだろうか。社主と派閥の関係を読み取れる人もいるかもしれない。
 同じ状況下においても、紙面はこれだけの違いを見せる。およそどのようなメディアも新聞の一面は新聞紙1枚の大きさしかない。そこに載せる情報を「選択」するプロセスを経過する。
 今回のような贅沢な選択が必要な瞬間にそれが際だって浮かび上がってくるが、しかし日常我々はそれになかなか気付けないでいる。貴方も気付かないうちに、ニュースを見ていないだろうか。
 貴方が知らなければいけなかったはずの情報が、メディアの選択作業によって消えているかも知れないのである。

 例えば、今回、もし首相の年金未納問題だけが大きなトピックであったらどうであろうか。間違いなく全紙の右上は首相の未納である。しかし、今回これだけのニュースが氾濫しているために、新聞によっては気付かないほど扱いが小さい新聞もある。
 これはテレビのニュース報道でも同様だろう。新聞紙面の容量に限りがあるのと同様に、ニュース番組の枠にも限りがある。話題がなければ首相の年金問題に割かれていた時間は、土日にはかなりの部分が小沢氏や朝鮮問題などにも割かれた。

 貴方は石原都知事の未納問題や、管代表の未納が実は保険庁のミスだったという問題、散々未納問題を扱ったキャスターたちも未納だった問題を知っていますか?

 「ニュース当て」という言葉があるという。大きな話題に大きなぶつけて、世間がそちらに注目している間に別の重要な物事を通してしまう作業である。議員の経歴詐称事件のときに、気付かないうちにイラク派遣法案が可決されたのも、もしかしたらこの作業なのかも知れない。

 いずれにせよ、ニュースを受け取る側は我々であるが、しかし我々からも選択をするべきなのである。我々自身が、選択し、評価し、編集する。それをすることが出来て初めて、情報が重要な価値となった現代を生き抜くことが出来るのである。




(本来ならば毎日新聞、東京新聞などのここに掲載していない他紙もいれるべきであるが、キヨスクにおいてなかったという事情で了承頂きたい。)新聞雑誌の資本関係や感覚的に言われてる特徴はここにhttp://homepage1.nifty.com/history/link/TV.htm
posted by Cotton at 08:44 | Comment(5) | TrackBack(0) | 政治と経済(Politics&Economy) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あんた・・・

何が凄いって考察の内容よりも、全国紙を買い占めたってのが凄すぎる。



「ニュース当て」は相当外部性の働く現象だと思うので集中するときは一気にきますよねー。アイドル妊娠ネタとスポ根ネタと政治ネタがここまで集中したら、そりゃ年金問題なんて(以下略・・・)
Posted by shimada at 2004年05月16日 15:41
ああ。おもしろいです。笑いました。特に最後のニッカンスポーツの小泉さんの写真の使い方がうまいオチですね。

2chで盛り上がりそうなネタですね。
Posted by kishida at 2004年05月17日 00:39
 小沢さんやめてしまいましたね。ここでなってしまうと首相になれないと思ったのでしょうか。なるというときの記者会見の超やる気ない表情と発言を思い出します。

 我々はほかにも考えなくてはならないこと、イラクの自衛隊、産業再生、不良債権、著作権法改正、少年法問題、などなどなど。がたくさんあるのに、メディアで取り上げられたことばかりを話してしまいます。

 みんなで話題を統一することで、コミュニケーションが円滑になるからでしょうか。どちらにせよ、私たちはもうすこし賢くならなくてはなりません。
Posted by cotton at 2004年05月17日 15:56
2004年5月15日の毎日新聞の1面は、右上がどーんっと写真入りで「首相年金未加入」。左上に「民主代表に小沢氏」、真ん中に小さめに「女子バレー五輪へ」。その下に「再訪朝」でしたよ☆



新聞社さんとしては、「民主党新代表」のことはある程度前からわかっていたことで、「年金未納」「再訪朝」の方がニュース性が高いから、扱いが大きくなるっていうことは避けられないって意見が。。。



ちなみに、去年10月の「自由党と民主党の合併」と「藤井総裁更迭」のニュースは、読売・日経・毎日各社が「藤井総裁」の写真を1面に掲げる中、朝日は合併大会の写真をど〜んっと使ってたのが印象的でした。



ニュースをぶつけるといえば、米大統領のブッシュは、今年の一般教書演説を民主党の予備選初戦の次の日にあててましたね。予備選初戦ってすっごく大事なんです!!!



初書き込みで、ながながと失礼しました。別に新聞オタクじゃないです(笑)たまたま。でも、アメリカ政治は好きです。

こんな子ですけど、よろしくです☆Hope you remember who I am. (^0^)
Posted by Miho at 2004年07月31日 09:11
返信おくれてごめんなさい。なぜか自分のブログが見れなくなっていて、けどそのままほっておいて、今気付きました(滝汗)

ほんともうこまりますよ。(_ _ )



ここらへんのはなし、ぜひ今度はなしましょう♪
Posted by cotton at 2004年08月11日 11:53
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。