オックスフォード大学は複雑怪奇だ。3つの組織が複雑に絡み合っていて、中にいる人を混乱させる。たまにはそんな日常生活を書いてみようと思う。
オックスフォードの三つの組織とは、大学とカレッジ(コレッジの方が正式らしいの)と、学部だ。大学生を取ってみると、学生は全員がコレッジのメンバーであり、入学するのは、オックスフォード大学にというよりも、「オックスフォード大学の構成員であるマートンカレッジに経営学部の大学院生として所属する」というのが正確な所らしい。この仕組みを取っているところは恐らくケンブリッジとオックスフォードしか無く、それが知らない人の混乱を助長する。そして、、、住む人間の混沌を作り出す(笑)
今週はまず大学機構にお世話になった。ここが学生を評価して学位を授与する権限があるので、休み中の課題を提出したのだ。試験は必ずこの大学機構のイグザミネーションスクールとい場所で行う。そして、学位を授与するのも大学だ。また、図書館や情報システム、語学教育なども行う。ただ、図書館はよく使うが、あとは試験や諸手続き以外は、学生にはなじみはあまり無い。裏方のバックボーンというイメージだ。ちなみに自分のお気に入りの図書館はこれ。。残念ながら物凄い古い本ばかりなので学部の図書館のほうがよく使うが。。。
さて、日常生活の中心はカレッジだ。私はマートンカレッジというカレッジに所属している。(日本の皇太子、徳仁親王はここで二年間を過ごされた。こんな感じだったらしい。)
マートンカレッジの人間は総じて比較的プライドが高い、というか誇りを持っている。もちろん40近くあるほかのカレッジもほかのカレッジで色々誇りをもっている。例えばクライストチャーチは昔から貴族が多いなどの高貴な校風、パーティカルチャー、奇麗な校舎、ハリーポッターも撮影されたため(?)、みんな自分のカレッジが好きだ。ベリオールも優秀な卒業生が多く、学生活動も比較的活発らしく(?)、人気が高い。セントジョンズも最も裕福なカレッジということもあり、設備が良く、食事もおいしく、羨望を集めている。
マートンカレッジの場合は恐らく、議論はあるがオックスフォードで最古のカレッジであるということ、また比較的裕福(第4位)であるということ、そしてキャンパスが奇麗で、また「学部生に取っては」超難関で優秀なカレッジというイメージが強いことから、比較的満足度の高い学生が多い。(ちなみに、、大学院生の成績はランキングが公開されておらず解らないので、、私には関係のない事である可能性も高い(涙))
さて、カレッジ生活は自分の専門とは関係なく進行する。また特にプライベート生活に大きく関係してくる。自分の上に住んでいるパウラがパーティを企画したが、来た人はコンピューターサイエンス、法律、ケミストリー、英文学、歴史、哲学などなどと専攻がバラバラだ。ちなみに多様性というと国籍もものすごく多様で、イタリア、ポルトガル、フランス、イギリス、カナダ、ドイツ、チェコ、オーストリア、ロシア、そして自分の日本とぐちゃぐちゃだ。
このグループと遊ぶと西ヨーロッパ中心だが、北欧と東欧中心のグループがあったり、アジアの英語国グループがあったりして興味深い。もちろん経営学部の人ともよく遊ぶのだが、少なくとも半分以上はコレッジが生活の中心なので、この多様性から得る物は大きい。
やっぱり、ご飯食べる所と寝る所が一緒なのはデカいのだろう。昼ご飯食べに食堂に行くといるし、夜スパゲッティを茹でているとくるんだからそりゃ仲良くなる。
ちなみに下の写真は、上がメインキャンパスで、中が食堂、下が寮。
カレッジの話と言えば、今日と昨日はカレッジで学部生の試験監督の仕事をした。いちお大学院生なので学部生の勉学を助ける義務があるためなのだが、これがまた自分の専門に関係がない。ローマ史とギリシャ文学のテストの監督だった。学部生はさすがにここ10年以上も40個以上あるカレッジの中でほとんど成績トップを守り続けているだけに物凄く賢そうで真面目そうな人が多く、それを眺めながら本を読んでいる自分はなんと不思議な時間を過ごしているのかと感じた。カレッジは専門に関係なく混じり合っている。歴史ある建物と合わさって時間が止まっているようだ。学問的なオーラもあり、自分はこの雰囲気はとても好きといえる。
さて、研究の中心はもちろん学部だ。私はいちおビジネススクールの一員という事になっており、マートンカレッジの図書館や大学中央図書館、社会科学図書館以外に、おそらくオックスフォードでも一二を争う新しさをほこる、こんな感じでモダンな建物や目新しくて整った設備を使う権利がある。(いちおと言ったのはMBAの皆様が主役なので細々と使っていると言う意味、笑)
ここは、新しくまだ成長途上なのだがそれだけに、活気があり、生徒もやる気があり、キャリア志向で、実はとても気にいっている。恐らく、MBAならアメリカの方がレベルが高いのじゃないかというイメージは私にもあるが、実際きてる人と、アメリカのMBAの学生と話すと大差はない。また前職のリクルーティングを助ける一環でMBAの学生たちと話した経験からいっても同じだ。要はランキング上の問題なんだろう。そういうイメージを切り捨ててここを選んでいる人が多いからか、オックスフォードが好きな人がやっぱり多い。
また、言うまでもないんだが、40人のクラスメイトは最高の仲間たちだ。日本と違ってもう修士を持っているか勤務経験があるのがおそらく大多数で、自分も違和感なく溶け込める。良い議論も馬鹿話も出来る。もちろん小さいグループなので授業はそんなに多くないし、これから改善しなければいけない点もたくさんあるが、それはそれで特に気にならない。スポーツばっかりやってるのもいれば、真面目に研究している人もいて、就職活動に精を出す人もいる。中々不思議なミックスの中で学んでいる。
全体的な方向性として、研究科の方は経済学、社会学、心理学、哲学など、オックスフォードの他学部とのコネクションを作り出そうと努力しているのを感じる(まだ不完全)。経営学というのは本当に複合的な知識が求められる領域なので、ビジネススクールしか無いところでは得られないベネフィットをこの大学は得られる可能性がある。というか、それが得られないともったいなすぎる。社会科学系で開発経済や、政治学、経済学、歴史学、社会学など世界に冠たる教授陣を誇る大学なので、それを少しでも活用か少なくとも経験しないと、なんというか、寿司好きの外国人が日本に来て寿司を食べないという感じだ。
ということで、研究と言えば、コアコースはここで受けるのだがせっかくなので先学期は経済学の講義と講演にも出席していた。ゲーム理論の授業はもの凄く刺激的で、またフィナンシャルクライシス特集の講演も全体の理解に大変役だった。
また、コレッジでもたまに授業がある。そちらは、History of book Group。Global directions Group、Biomedical and Life Sciences Group、などものすごく全体をカバーするようなテーマになっている。これはそんなに頻繁では無いのだがこれはこれで実りが大きい。
こんな風に入り組んでいるのでちょっとした問題も多い。カードキーが統一されてなかったり、システムのログインが沢山あったりして、不便なことも多い。ただ、このごちゃごちゃ感がこの大学の良さであり、自分の愛するところなのかもしれない。複雑性と多様性が様々なものを内包していて、ゆっくりと行ったり来たりしながら、過去との結びつきを確認しながら、前に進んでいるような気がするのだ。なんとヨーロッパ的イギリス的なんだろうか。あと三分の二あるらしいので、ゆっくりこの雰囲気を楽しみたい。
さて、まとまりは全くないですが、イメージはわいたでしょうか?
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