私はMacintosh SEからの生粋のマックユーザーで、ことある毎にマイクロソフトをけなす事をストレス発散の道具としてきた。windows2000とwindowsXPで少し収まったこの癖もwindowsVistaで再燃し、もはや林檎以外食べれない人になっている。しかしながら、ことアップルがマイクロソフトに全く持って勝てないことが一つだけある。
それは、後継者の育成という企業経営にとってとても重要な行為である。特に永続的に存在しようとする大企業であればあるほど、それの重要性は増す。そして、現在の経営者がカリスマであればあるほど、その重要性はさらに増す。マイクロソフトも、アップルも、それぞれ一人のカリスマ経営者によって拡大し、または復活を遂げた組織である。
アップルのスティーブジョブズは果たして復活するのだろうか。彼にもしものことがあったら次は誰がこの会社の将来を背負うのか。誰も解らない。ネット上では噂が飛び交っている。しかし、誰も正直なところ実際が解らない。顧客に取って、株主に取って、従業員に取って、ありえないほど大きなリスクである。
ひるがえって、ビルゲイツがした事は大変用意周到である。Steve Ballmerを右腕として育て上げ、Ray Ozzieを獲得し、自身の引退を二年も前に株主、顧客、従業員、メディアに周知した。少しづつ自身の軸足をゲイツ財団に移しつつも、しかしマイクロソフトへのコミットメントを続ける事で、全く持って彼の引退を危ぶむ声を聞かないまま、マクロソフトは次の時代へ進むことが出来た。
後継者問題は、事業にとっても、国家にとっても、どのような組織にとっても重要である。時に指導者がカリスマであれば有るほど、そのリスクは高まる。典型的な例が、日本の政治である。小泉純一郎氏は、その劇的なカリスマ性とビジョンで国を引っ張った。竹中平蔵氏を初めとする有力なブレーンのサポートも有り、圧倒的な支持を継続したまま、その時代を終えた。
しかし、彼は自身の周りに強いグループを持たなかった。少数の人間が彼の周りから権力の場に躍り出たが、どれも権力の座にふさわしくなかったのだろう、一年でその座から転落した。お坊ちゃんも、サラリーマンも、漫画オタクも、どれも強力なリーダーシップを発揮する事は無かった。国の政治は混迷を極め、辛うじて優秀な官僚機構が最低限の物事を押し進める事で国を回しているのが現状だろう。
全ては人を育てる事から始まる。もしマネージメントの最も重要な事を三つ挙げろと言われると、1)ビジョンを示す。2)実行を旨とする。に並んで、3)人を育てる。はもっとも重要な要素として上がってくる。さて、日本国は1、2、3のどれが出来ているのだろうか??
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