2011年12月12日

弱いものに優しく、強いものに厳しい国:強者切り捨て、の先にあるもの

 今日、とある著名な研究者が、端的に言えば、日本を捨ててよりよい研究環境に移籍した。私は、それは仕方のないことだと思う。この絶望的な空気の中で、日本人の将来よりも、人類の将来に貢献できる道を選んだのだろう。

日本は、弱い者に優しく、強い者に厳しい国である。そして、これまではこれが機能していた。強いものが強くなりえたその理由が、日本国固有の自然、人工資源に帰するものであっただけではなく、その強い者たちが、拠り所にする場所としての日本が存在していたからである。

 これまで長い期間、国、組織、個人は切り離せない一つの集団として存在していた。日本企業は、日本企業であり、日本人研究者は、日本人研究者であった。未だ、世界がもっと断片的だった時代、強いものですら、日本という拠り所を失っては、それ以外の場所でその強さを発揮することは難しかった時代が長く続いた。しかし、今は違う。強い者が虐げられる時、世界には、他のところに、手をさしのべるものがたくさんいる。よりより条件、よりよい環境を与える代わりに、その強さを手に入れたい国や、そして組織が多数存在する時代となっているという明白な事実がある。

 ただ、理不尽な理由で研究費を削られ、やりたくもない折衝に時間を取られ、そして年収一千万円そこらで働く世界の頭脳が、日本にはたくさんいる。しかしその一方、彼らには、手を差し伸べる、その知能が喉から手が出るほど欲しい組織や国が沢山存在する。あるシンガポールの大学は、世界有数の頭脳に対しては、億円単位の研究費&報酬を提示しているという。ある韓国の企業も、先進国の技術者に前職給の三倍以上の額を提示している。中東の新興大学も、億円近い金額を研究者に提示しており、また中国の大学も潤沢な研究費を欧米から招聘されてきた研究者に与えている。世界レベルの研究をするときに、なぜ、理不尽な困難に時間を取られ、頭の硬い政治家と折衝をしなければならないのか。 理性的に考えた時、日本を捨てるという考えをもつ人々が出てくることは、不思議ではない。

 日本の暗い未来は、貧困にあえぐ、政治的に不安定な国の頭脳流失を彷彿とさせる。例えば、イギリスにはアフリカ諸国や、中東から大量の頭脳がやってくる。彼らは、母国にいては評価されない頭脳を、それをもってして評価される国で発揮しようとやって来る。彼らは、死んでも母国に帰りたくないという。絶対に欧州や米国で仕事を見つけて、そこで生きていこうとする。その結果として、彼らの母国には、頭脳が残らない。リーダーがいない。経済成長の基盤となる技術革新は起こらない。避けることが出来ない、去ることが出来ない民が取り残されるだけである。

 日本の衆愚政治は、日本という国を引っ張っている先進者達に冷たい。なぜなら単に、彼らはマイノリティであり、選挙になれば、影響力の小さな集団の一つでしか無いからかもしれない。結果、日本は高額所得者に増税する。利益を上げる競争力のある企業にさらに課税する。一部の優秀な研究者を敵に回して、数千億単位の「微々たる」財源を確保し、年間一兆円以上増える高齢者の医療福祉を守ろうとする。メディアもそれを追従する。「弱者切り捨て」を合言葉に、「強者切り捨て」を容認している。

  このままでは、日本には弱者しか残らない。選べる人間は、合理的な選択をしていくだろう。このような社会に貢献することが、いかに愚かなことなのかと考えるようになるだろう。世界的な競争力がある企業は拠点を日本から移し、日本に課税されることをさけ、日本への依存度をさらに下げるだろう。また個人も、外でも戦える人材であれば在るほど、いつでも外に逃げ出せるように準備をするだろう。それは、大変申し訳ないが、合理的な行動なのである。

その結果として、強い日本企業、強い日本企業は生き残るだろう。しかし、沈没船、日本丸は、逃げられない弱者と、その代弁者でしか無い政治屋を抱えて、深海の底に沈んでいく。

 このままでは良くない。純粋な日本人として、もう外にいる自分ではあるが、しかし、なんとかしてこの状況を変えたいという情熱を持っている。それでも私は、日本を何とかしたい。

posted by Cotton at 18:29 | Comment(1) | TrackBack(0) | 政治と経済(Politics&Economy) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by ゼクシオセブンアイアン at 2014年02月18日 10:52
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